門田隆将オフィシャルサイト | kadotaryusho.com

  • 最新情報
  • プロフィール
  • 著作リスト
  • 講演のご依頼
  • ブログ
(C) KADOTA RYUSHO. ALL RIGHTS RESERVED.
BLOG | KADOTARYUSHO.COM

ブログ

北海道・帯広にて

2011.05.22

今日は、北海道の帯広に来ている。明日、こちらで講演があるが、事前に帯広でお会いしたい人がいたので、1日早く帯広入りした。

お会いしたかったのは、サイパンの生き残りの元兵士(88)である。玉砕の戦場となったサイパンの戦いを生き抜き、昭和19年7月にサイパン守備隊が全滅した後、1年半も同地で抵抗を続けた元兵士である。

今年、封切りされた竹之内豊主演の「太平洋の奇跡―フォックスと呼ばれた男」もサイパンの戦いを描いた映画だったが、今日、お会いした元兵士も同島のまったく別の地で長期の抵抗を続けた人物である。

生々しい証言の連続に息を呑むシーンも少なくなかった。経験者でなければ語れない事実の「重さ」にいつもながら驚かされた。

夜は、某通信社の帯広支局長、そして地元の有力者の一人と食事をした。十勝地方の政治経済、あるいは大規模農業についていろいろと教えてもらった。本州の農業と、十勝の広大な大地を使った農業が根本的に異なることを具体的に知った。

いま日本では、TPP(環太平洋戦略的経済連携協定)によって国内農業が打撃を受けるという声が満ちているが、少なくともここ十勝地方の大規模農家はTPPをまったく恐れていなかった。むしろ「大歓迎」なのだそうだ。

これまで高い税金がかけられていた輸出入品の関税が撤廃されるTPPは、補助金と保護政策に胡坐(あぐら)をかいてきた農家こそ打撃を受けるが、経営努力と大規模化を展開してきた十勝の農家はまったく大丈夫だと、この有力者は語った。

これに反対しているのは、国の優遇政策にどっぷり漬かってきた農協関係の連中ばかりだとも言う。「農協は潰れるが、経営の効率化と大規模化を目指してきた競争力のある農家はむしろTPPを喜んでいますよ」と。

この有力者の話によれば、一時、廃れていた林業も復活の兆しがあるという。日本の林業に決定的な打撃を与えてきた外材の流入――しかし、ここ数年、地球温暖化などの環境問題を理由に世界的に「切る林業」から「育てる林業」に変わってきたため、外材の流入自体が少なくなり、十勝の林業も持ち直しつつあるという。

時代の変化に必死で対応しようとする地方の農林業のあり方は勉強になる。そこには、東京では聞けない地方の本音がある。日本の農業の本来のあり方と共に、今後のTPPの行方に注目していきたい。

カテゴリ: 歴史, 農業