門田隆将オフィシャルサイト | kadotaryusho.com

  • 最新情報
  • プロフィール
  • 著作リスト
  • 講演のご依頼
  • ブログ
(C) KADOTA RYUSHO. ALL RIGHTS RESERVED.
BLOG | KADOTARYUSHO.COM

ブログ

冠雪の富士山を見ながら

2012.01.26

今朝の読売新聞のコラム「編集手帳」は、徳富蘆花の〈東海の景は富士によりて生き、富士は雪によりて生く〉という文章を紹介し、〈新幹線の車窓から冠雪の峰を仰ぎ、はっと息をのむのもこの季節である〉と締めくくられていた。

政府が富士山をユネスコの世界文化遺産に推薦することを機に書かれたものだ。私も、その富士山の姿にはっとさせられた一人だ。昨日、私は新幹線の車窓から真冬の冷気の中に雪をいただいた富士山を見た。

それは、「編集手帳」が書くように息をのむような美しさだった。私は昨日、その姿を見ながら愛知県新城市に行き、戦艦大和の生還者で昨年亡くなられた滝本保男さんのご霊前に線香をあげさせてもらった。

滝本さんは、戦艦大和の第三主砲のたった一人の生き残りだった。一昨年、誰の紹介もなく訪ねていった私に戦艦大和の最期のようすと人類史上未曽有の巨砲であった大和の主砲について、詳しく教えてくれた。

長年、胸にしまっていたことを私に打ち明けてくれた滝本さんは、私が訪ねていった3か月後の昨年1月13日に亡くなった。90歳だった。その一周忌を過ぎて、やっと私はお線香をあげさせてもらうことができたのである。

そして、今日は、名古屋で戦艦大和の左舷の機銃を担当した奇跡の生還者(88)にお会いすることができた。長時間の取材で、今日も私はさまざまな大和の秘密を教えてもらった。

「太平洋戦争 最後の証言」の完結編となる「大和沈没編」の締切が近づいている。それは、取材も含めて“時間との戦い”である。貴重な大和の生還者たちの年齢も限界を迎えつつあるからだ。

全国で大和の生還者たちを訪ねる作業も3年目に入った。一人でも多くの証言者とお会いし、大和にかかわった元戦士たちの言葉を通じて、あの時代の若者の苦悩と潔さを描ければ、と思う。

ご高齢の歴史の証言者たちが、私を待ってくれている。1年で一番美しい姿を見せてくれる冠雪の富士山を新幹線の車窓から見ながら、私の「太平洋戦争 最後の証言」の取材も最終盤を迎えている。

カテゴリ: 歴史, 随感