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『週刊現代』インタビューとNHK・BS

2012.01.30

徹夜での原稿執筆が始まった。『太平洋戦争 最後の証言』の完結編となる「大和沈没編」である。過去3年間にわたる大和生還者の証言を取材ノートをもとに振り返りながらの執筆となった。

3、332人の大和乗組員のうち、生還したのはわずか276人。人類史上未曽有のこの巨艦と共に東シナ海の蒼い海の底に沈んでいった若者たちの思いをノンフィクション作品として正確に書きとめたいと思う。生還者の証言を記したノートと膨大な史料に囲まれ、執筆部屋もたちまち一杯になってしまった。

ちょうど本日発売の『週刊現代』の書評ページ(116頁~117頁)に私のインタビュー記事が掲載されている。『太平洋戦争 最後の証言』の第二部「陸軍玉砕編」に関するインタビューである。

この『太平洋戦争 最後の証言』シリーズの取材と執筆に、私がどんな思いで臨んでいるかを簡潔な文章で表わしてくれた記事だった。使命感と責任感に溢れた大正生まれの若者たちの潔さと、軍上層部の愚かさに対する私の思いを適確に表現してくれていた。

インタビューされるのは慣れているが、この記事は短い中に私が言いたかったことが正確に記述されているので、嬉しかった。新たな執筆に「力をもらった」ような気がした。

一心に原稿に邁進しなければいけない中、今日はたまたまつけたテレビで「山田風太郎が見た日本 未公開日記が語る戦後60年」(NHK・BS)という番組をやっていた。山田風太郎は私の好きな作家の一人だが、彼が遺した日記をもとに戦中戦後を考えるという見応えのある内容だったので、思わず見入ってしまった。

皇国少年であった時代から見習い医師時代、さらには戦後、作家として歩む山田が、独自の視点で「日本」と「日本人」を冷静に見つめた日記を俳優の三国連太郎が朗読する番組である。何年か前に放映されたものが“アーカイブ”として再放送されたのだ。

山田風太郎の辛辣で、それでいて温かく、さらには示唆に富んだ日記の内容は、実に興味深かった。忍法小説で一世を風靡した山田風太郎は、日記の中に「上質のノンフィクション作品を残したかったのかもしれない」と、私は番組を見ながら思った。

“ノン・フィクション”――すなわち“虚構のない”世界を日記の中で山田は表現したのではないか、と私は思う。「全日本人が復讐の陰鬼になってこそこの戦争に生き残り得るのだ」と書いた戦中と、「抜きがたい地上相への不信感」を語り、「人は変わらない。おそらく人間の引き起こすことも」と戦後、記述する山田の冷静な目は、小説家というより現実を直視するジャーナリストそのものであるような気がした。

2時間もつづいたこの番組に見入ってしまったために、私は貴重な執筆時間を大幅に削られてしまった。いつもながらNHK・BSの番組は、締切に追われている身には、罪深い。

カテゴリ: 随感