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「真の友好」をはき違えてはいけない時代

2012.09.30

昨日9月29日は、田中角栄と周恩来によって日中共同声明が出され、日中両国の国交が正常化された40周年の記念日だった。

だが、皮肉にも、記念の式典は中止され、日中関係はこれまでで最悪の事態に陥っている。いよいよ新しい日中関係を構築しなければならない時代が来たことを痛感する。

私は「真の友好をはき違えてはいけない時代が来た」ということを感じている。同時にここのところの一連の報道を見ながら、違和感を拭えないでいる。

尖閣をめぐる中国との関係悪化で、多くの中国関係の専門家がマスコミに登場し、さまざまな論評を展開しているが、私は彼らの話に納得ができないのである。

「大局的な観点」から「日中の友好を促進」し、もう一度「冷静になって」お互いを「理解しあおう」というのが、彼ら中国の専門家たちの主流となっている意見だ。そもそも日本政府がそう言っているのだから、専門家の意見がそうなっていくのも無理はない。

しかし、私は、これはまったく「逆」だと思っている。究極的に「日中友好」を目指すことに異論はまったくない。いや、そうすべきだと思う。だが、専門家たちが仰るようなことをすれば、日中関係は「良好」になるどころか、むしろ、今後も「悪化」することは確実だと私は思っている。

いま日本と日本人がおこなわなければならないことは、「それでも相手を理解しようとする」ことではない。暴徒化し、略奪や放火をおこない、莫大な被害を日本企業にもたらしたデモ隊の「刑事犯罪」と、それを許した中国政府に対して、毅然とした「怒り」を示すことだと思う。

それは、日本人が東京で駐日中国大使館に向かってデモをしろ、ということではない。ただ、国際社会が呆れ果てたあの中国の「不法行為」を、日本と日本人は「許さない」ということを明確に示すことである。

言いかえれば、あらゆる手段を講じて、中国の刑事犯罪に対して「経済的対抗手段」をとることだ。もちろん、これには多くの犠牲が伴う。企業の利益が失われ、破綻する日本企業も出てくるだろう。

それでも、私は「真の日中友好のために」これを今こそ、おこなわなければならない、と思う。なぜなら、繰り返される中国による日本と日本企業への攻撃は、日本を「甘く見ている」、言いかえれば「舐めている」から起こっていることだからである。

日中国交正常化以降の40年間、日本は中国に対してあらゆる譲歩をおこなってきた。巷間、伝えられているように、対中ODAは総額で「3兆円」という気の遠くなる額に達している。人民元で換算すれば、2000億元をはるかに超える想像を絶する金額だ。

だが、中国の人々はそのことを知らない。私は、1980年代初めから訪中を繰り返しているが、そのことを知っている中国人はほとんどいないし、そのために感謝の言葉を伝えられた経験もない。

要するに、日本国民の税金は、日中友好のためには何の効力も発揮せず、逆に中国が発展途上国に出す資金援助の“原資”となり、中国がその国から感謝され、勢力範囲を広げるための“武器”となってきたのである。

日中の真の友好をもたらすためには、「大局的な観点からお互いが理解しあおう」などということではなく、毅然とした「対抗措置」を講じることが重要だと言う理由のひとつは、そこにある。

中国の指導者層には、「日本には、“歴史認識問題”さえ持ち出させば、どうにでもなる」という揺るがない考え方がある。日本には自分たちの意見を広く日本中に流布し、中国共産党の機関紙かと見紛うばかりの新聞も存在するので、彼らがそう思うのはある意味、当然だろう。

この40年間の日中関係を見てみると、それがよくわかるはずだ。一部の政治家とマスコミの主導によって、日本はどんな理不尽な歴史問題を突きつけられようと、ひたすら従順に「資金提供」と「技術協力」をおこなってきた。

それは、「踏まれても ついてゆきます 下駄の雪」という都々逸にあるような情けない姿でもあった。では、これが日中関係に果たして「功を奏した」だろうか。

結果としてもたらされたのは、日本は舐められ、「どうにでもなる国」と判断され、暴徒化したデモさえ「止めてもらえない」対象の国になり果てたのである。

いま中国に進出している日系企業は2万社を超えている。そこで働いている中国人は、ほぼ東京都の人口に匹敵する。1000万人をはるかに超える中国人が日系企業とその関連の職場で働いているのだ。

それをもとに、日系企業は、いまや世界の市場となった中国で、実に30兆円を超える売り上げをあげている。日中の貿易総額も27兆円という膨大な額に達している。

日本にとっても中国が欠くべからざる国であるということを示すこの数字は、逆にいえば、中国にとって、日本を敵にまわしたら、取り返しのつかない事態に陥ることも同時に示している。

日本が本当に怒って、中国からインドや東南アジアに完全に経済をシフトし始めたら、果たしてどうなるだろうか。まず考えられるのは、上海の株式市場の暴落である。言うまでもなく、これによる日本の経済的な打撃は測り知れない。

日本の株式市場も暴落するだろう。しかし、どちらの打撃が大きいかと言えば、それは中国の方だ。貧富の差は開く一方で、資本主義型共産党独裁体制下にある中国は、年間18万件という暴動を抱える政情不安の国でもある。

不満を抱え、これから内陸部の発展も進めなければならない中国が、最大の経済的パートナーである日本が「距離」を置き始めたらどうなるだろうか。

中国は功利主義に支配された国だ。よく面子を重んじる国と専門家が言うが、それより強いのは功利主義である。不利だということをわかっていて、つまり自分が多大な損を被ることをわかっていながら、利益より面子を追う国ではない。

お互いがお互いを尊重しあう真の意味の「友好」を築くためには、日本はそこを見誤ってはならない。つまり、これまでおこなってきた「下駄の雪」方針をつづけるのではなく、日本はあなたたちを「許しませんよ」ということを明確に、そして毅然と示していくことが重要だ。

レアアース問題が、そのための絶好の参考例となるだろう。2年前、中国漁船が尖閣で海上保安庁の巡視船に体当たりしてきた事件に端を発して、世界のレアアースの90%を生産する中国が日本への輸出を見合わせて、事実上の“制裁”に入った。

この時、日本は、商社が中心になって世界中でレアアースの生産と確保に乗り出した。中央アジアや南米、北米などに突破口を見出そうと日本の商社マンが世界中を走りまわった。

これに慌てたのは、中国だった。最大のお得意先の日本がほかにシフトし始めたために、つり上げたレアアースの価格が足枷になり、販売戦略に異変が生じてしまったのだ。今や、日本はレアアースの供給先を“中国以外”に求めているため、この問題に関する日中の力関係は逆転してきている。

この例が示すのは、日本が中国に対して毅然とした姿勢を示し、あなたたちの横暴は決して許しませんよ、ということを伝えることができれば、彼らは自然と態度を変えてくるということである。

好むと好まないとにかかわらず、日本は、中国と長くパートナーとしてこれからもつき合っていかなければならない。その時、今のような関係をつづけることは、決して「両国のために」ならないのである。

中国には、国際ルールとは何か、そして、自分たちの要求が絶対に通じるなどということが、いかに「幻想」に過ぎないかを知ってもらわなければならない。そのことを教える経済力を持つ国は、日本しかない。

気に障ることがあれば、その国の企業を焼き打ちするような行為は絶対に許されないことを中国と中国人には知ってもらう必要がある。中国の覇権主義にさらされている周辺諸国は、日本にその役割を期待している。

いま日本に問われているのは、そのための「臥薪嘗胆」である。すなわち我慢比べに耐える気概だ。毅然とした姿勢を中国に示し、その先に「真の友好」があることを日本人は、知るべきだと思う。

アジアの国々が、それを日本に期待していることを、今こそ政治家もマスコミも肝に銘じるべきだろう。

カテゴリ: 中国

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