門田隆将オフィシャルサイト | kadotaryusho.com

  • 最新情報
  • プロフィール
  • 著作リスト
  • 講演のご依頼
  • ブログ
(C) KADOTA RYUSHO. ALL RIGHTS RESERVED.
BLOG | KADOTARYUSHO.COM

ブログ

隣国との「真の友好」とは

2013.03.09

WBC2次リーグの初戦、日本-台湾戦は、試合時間が実に4時間47分に及び、日付が変わる直前までつづいたまさに“死闘”となった。

昨日のブログでも書いたように、延長10回、日本が中田翔(日本ハム)の犠牲フライで4対3と台湾を破ったが、試合のあと、両チームがお互いを讃え合う光景に象徴される“清々しさ”が東京ドームだけでなく日本列島を駆け抜けたように思う。

前回のWBC予選で、日本に勝利した韓国チームが、マウンドに韓国の国旗・太極旗を立て、精一杯戦った相手に対する敬意を感じさせない、なんとも言えない“不快感”が漂った時とは大違いだった。

日本と台湾は、アンケートをすれば、お互いの国を「好きだ」と答える人が両国とも75%を超えるという近しい関係だけに、スポーツの対戦にも爽やかさが感じられるのだろう。

激戦から一夜明けた今朝の産経新聞朝刊に、吉村剛史・台北支局長が、ほのぼのとする記事を「台北発」として寄せていたので紹介したい。

来年2月から、台湾の中学3年生用の「公民」の教科書に日本が台湾の人たちに向けて出した「感謝広告」が取り上げられることになった、というニュースである。これは、日本の交流協会(大使館に相当)の台北事務所が昨年3月、台湾の人々が震災の時に手を差しのべてくれた数々の支援に対して出したものだ。

実は、震災後、民主党政権は、各国の主要新聞に支援への感謝広告を掲載したが、最も多額の義援金を送ってくれた台湾を「対象外」にしていた。

中国に対する“いつも通り”の過剰な自己規制による遠慮だったのだろうが、そのことを申し訳なく思った日本人女性が「謝謝台湾計画」なるものを立ち上げて民間で資金を募り、2011年5月に台湾の主要2紙に感謝の広告を出した。

そして、その4か月後の2011年9月には、日本人の感謝の気持ちを直接届けようと6人の日本のスイマーが与那国島から台湾の蘇墺(そおう)までリレーで泳ぎ切り、「ありがとう台湾」という言葉を伝えて大きな話題となった。

今回、教科書に取り上げられることになったのは、さらにその半年後の昨年3月、交流協会が台湾への感謝を表わす広告やCMを台湾メディアに出した時のものだ。

今日の産経新聞の記事には、教科書に掲載されるその「感謝広告」の写真がそのまま載っている。宮城県石巻市の中学生らが、古タイヤを利用した手製の太鼓を打っている写真だ。

太鼓(古タイヤ)をたたくバチを持って右手を高く掲げた石巻市の中学3年生・伊藤祐汰君の凛々しい姿と、その横に「現在我很元気 台湾、謝謝你(僕は元気です。ありがとう台湾)」と大書された文字が目に飛び込んでくる。

一瞬で、はっとさせられる広告だ。被災地の感謝と頑張りがよく伝わるものである。世界のどの国よりも早く、かつ多額の義援金を送ってくれた台湾では、震災の時、小学生たちが自分のお小遣いの中から「日本の人たちを助けてあげてください」と寄付するほどの社会現象が生じたことは知る人ぞ知る。

背景には戦前の日本と台湾との関係や、1999年9月に死者2400人、負傷者1万人余を出した台湾中部大地震の際、日本の国際消防救助隊が地震発生の夜に、どの国よりも早く現地に救助に「駆けつけたこと」がある。

台湾の人たちは、そのことを今も忘れていないのである。「あの時、一番早く、そして大量の日本の救助隊の人たちが駆けつけてくれたことは忘れられません」と、私自身が台湾の人たちから何度も聞いたものである。

その台湾では、日本の大震災の時、馬英九総統自らがテレビ番組に出演して日本への援助を呼びかけ、たちまち莫大な義援金が集まった。日本の地震と津波のニュースを涙を流しながら見る台湾の人たちもあとを絶たなかった。

そして、ついにその台湾で日本の「感謝広告」のことが中学の教科書に取り上げられることになったのである。吉村支局長の記事によれば、「公民」の中の国際社会への関心の重要性を紹介する項目にこれが取り上げられるのだそうだ。

私はこの記事を読みながら、同じ“隣人”でも、子どもの時から、徹底的に日本と日本人を憎むような「反日教育」を施す中国と韓国のことを思い浮かべた。

子どもの頃から植えつけられた知識や感情から逃れることは、誰にとっても難しい。つまり、両国では「反日」はいわば国是であり、いくら草の根の交流を進めようと、最後にはこれが障壁となって「真の友好」を築けないのである。

教育によって、将来を担う子どもたちに「対立」と「憎悪」を植えつけ、煽り立てる国と、一方、子どもたちに「心の交流」と「助け合いの大切さ」を教える国――本当に「大切な隣人」を尊重し、そして「真の友好」とは何か、を私たち自身も忘れないようにしたいものである。

WBC2次リーグで両国の代表が激しい気迫でぶつかり合い、死闘を繰り広げた翌朝だけに、台北発の吉村支局長の記事が余計、心に染(し)み入るのかもしれない。

カテゴリ: 台湾

最新のエントリー

カテゴリー

アーカイブ