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都民は、ついに煽られなかった

2014.02.09

あまりにあっけない結果だった。注目の東京都知事選は、投票が締め切られた2分後、舛添要一氏が「午後8時2分」に支持者と共に「万歳」をするという幕切れとなった。

都知事選は、日本の選挙の中で唯一、“制御のきかない”選挙である。有権者1082万人という想像を絶する規模であり、世論調査なども、ほとんど参考にならない。知名度が最大当選要因と言われる所以である。

それだけに、これほど圧倒的な差がつく都知事選となるのは意外だ。私は多くの国民と同じく細川護煕氏が「どこまで票をとるか」に注目していた。

それは、小泉元総理が、「この戦いは、原発ゼロでも日本が発展できるというグループと、 原発なくしては発展できないというグループとの争いだ」と言って、細川氏を担ぎ出したからである。

つまり、「脱原発」というワン・イシューで小泉氏が細川氏を擁立し、選挙演説でも圧倒的な聴衆を集め、一時はブームになるかと思われたからだ。

しかし、都知事選なのに「なぜ原発なのか」という冷ややかな見方は最後まで払拭(ふっしょく)されなかった。都知事選に原発問題を持ち込んだことに、「都民をバカにしているのか」という声を、私は何人もから聞いた。

東京には、人口の過密化による居住環境の悪化、住人の高齢化による高齢者ホームの問題、待機児童問題など、喫緊(きっきん)の課題がそれこそ山積している。そんな中で、選挙に「原発」を持ち込み、しかも、「この戦いは、原発ゼロでも日本が発展できるというグループと、 原発なくしては発展できないというグループとの争いだ」と“レッテル化”したのである。

今回、細川氏が「3位」に終わるという選挙結果に一番、驚いたのは、その小泉さん本人だったと思う。それは、郵政選挙で成功したワン・イシューのこの選挙手法、つまり、 “レッテル選挙”が「通用しなかった」ことだ。

それは、小泉氏に煽られるほど都民は「愚かではなかった」からだろう。そして、そもそも小泉さんは完全に勘違いしていたことがある。それは原発問題を都民は「それほど単純に見ていない」ということだ。

多くの国民、都民は、将来的には、原発がなくなって欲しいと思っているに違いない。私は、あの福島原発事故の真実を描いたノンフィクション作品『死の淵を見た男』を一昨年上梓した。

あの過酷な事故は、福島の浜通りに生まれ育った現場のプラントエンジニアたちが、命を賭けて、汚染された原子炉建屋に突入を繰り返し、ぎりぎりで格納容器の爆発を回避したものである。

官邸や東電本店からの「海水注入中止命令」にも逆らい、吉田昌郎所長のもとで踏ん張った彼ら福島の男たちがいなければ、日本は実際にどうなっていたかわからない。

つまり、一歩間違えたら、日本そのものが崩壊する危険性を持っているのが原子力エネルギーである。それだけに、「脱原発」ができるなら、本当にありがたいと思う。

だが、現実には、原発がストップした震災以降、液化天然ガス(LNG)の輸入による火力発電に頼らざるを得ず、消費税にして2パ―セント分にあたる年間4兆円近い輸入増によって「円」が外国に流出している事態がつづいている。

震災以降、すでに日本の貿易赤字の累計は「20兆円」を超えている。また火力発電による環境破壊の問題も懸念される。現在、想定されている自然エネルギーでは、「エネルギー問題」を解決できそうもないからこそ、国民は悩んでいるのである。

また、資源小国である日本で、もはや原子力への人材確保が見込めなくなり、安全な「第四世代の原子炉」が生まれる可能性が極めて小さくなったことも残念だ。

そんなエネルギー問題に対して、小泉氏は、「即、原発ゼロだ」「イエスか、ノーか」という“土俵”をつくった。しかし、都民は、そんな単純な土俵には乗って来なかったのである。

その意味で、今回の都知事選は、レッテル選挙で有権者が「煽られないこと」を示した点で、極めて注目すべきものだったと思う。舛添要一氏が都知事に相応(ふさわ)しいかどうかは別にして、この点においては、有意義な選挙戦だったのではないだろうか。

カテゴリ: 政治

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