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従軍慰安婦が「韓国政府」を訴えた歴史的意味

2014.06.30

いつも興味深い情報を提供してくれる『レコード・チャイナ』が、今日も注目すべきニュースを配信していた。かつてアメリカ軍基地の周辺で売春に従事していた韓国の米軍慰安婦たちが起こした集団訴訟に関する論評記事である。

このニュースは、少なからず韓国社会にショックを与えている。“憎き日本”を糾弾するための従軍慰安婦問題の矛先が、こともあろうに自分たちの政府に突きつけられてきたのだから無理もない。思わぬ事態に日本糾弾の急先鋒だった人々の多くが沈黙を決め込んでいる。

問題の訴訟の中身は以下のようなものだ。この6月25日、かつて米軍を相手に商売をおこなっていた慰安婦122人が韓国政府を相手取って、1人あたり1000万ウォン(およそ100万円)の損害賠償を求める集団訴訟を起こした。

『レコード・チャイナ』によれば、原告団は、「なぜ被告が韓国政府であるか」をこう説明しているそうだ。「米軍慰安婦制度を作ったのは韓国政府であり、しかもこれを徹底的に管理したのも韓国政府だ。表向き、売春行為を不法としながら、“特定地域”なるものを設置して米兵相手に売春をさせ、愛国教育という名で精神教育までおこなった。国家は私たちを守るどころか、“外貨を稼ぎ”のために利用したのだ」と。

日本では周知の通り、1991年8月、朝日新聞が従軍慰安婦問題に火をつけ、今や世界各地に日本糾弾のための「慰安婦像」が建ち、完全に日韓の関係は破壊され、さらには日本の若者の国際進出の大きな「障壁」ともなっている。

朝日新聞は朝鮮人従軍慰安婦を「“女子挺身隊”の名において戦場に連行され、日本軍人相手に売春行為を強いられた」存在として、クローズアップさせた。だが、その後、20年以上経っても記事が示すような「強制連行」の事実は出て来ず、しかも戦時中の女子の勤労奉仕団体である「女子挺身隊」を従軍慰安婦として混同するなど、お粗末な記事の実態が指摘されてきた。

しかも、記事を書いた当の朝日新聞記者の妻が韓国人で、義母は当時の慰安婦訴訟の原告団長であったことが明らかになるに及んで、日本国内で激しい反発を買った。だが、韓国国内の対日批判は時間が経過してもとどまるところを知らず、「日本人は朝鮮女性を強制連行して性奴隷(sex slaves)にした」として、今も糾弾が続いているのである。

当時の兵士の給料の30倍という「月収300圓」を保証されて慰安婦となった女性たちが、「無理やり日本軍、あるいは日本の官憲によって強制連行された」という虚偽が罷り通っているところに、この問題の特殊性と根深さがある。さらに、日本では、政治家などが、この問題に批判的に言及すれば、たちまち朝日新聞を代表とする日本国内の“反日メディア”に目の敵にされ、攻撃を受けるパターンが繰り返されてきた。

いつの間にか、この問題自体がタブー視され、敬遠される存在となっていったのも当然だろう。しかし、韓国政府を相手に起こされた今回の集団訴訟は、私たち日本人に3つの点で大きな「示唆」を与えてくれているのではないだろうか。

一つは、従軍慰安婦という存在は、日本だけが糾弾されなければならないような問題ではないということ。二つめには、慰安婦とは、はっきり米兵相手に“売春”をしていたもの、と当の韓国国内の訴訟提起によって明らかにされたこと。そして、三つめに、韓国政府自体が女性を強制連行して“管理”していた、という疑いが出てきたことだ。

自国の女性を狩り出して他国の軍隊に提供していたことが、仮に裁判によって「事実」と認定された場合、激しやすい韓国の国民は一体、どんな反応をするのだろうか。ソウルの日本大使館前に従軍慰安婦像を建て、日の丸を焼くなどの行為をおこなってきた韓国の人々は、果たして今度は「青瓦台(韓国の大統領府)」の前で同じことをするのだろうか。

私は、安倍政権によって「河野談話の検証」がおこなわれ、河野談話の上で“強制性”を認める時、両国の間でどのような擦りあわせをおこなったかが明らかになった丁度この時期に、今回の「集団訴訟が起こされたこと」に歴史的な意味を感じている。

6月30日、韓国の国会の外交統一委員会は河野談話の検証結果を日本政府が公表したことについて、「挑発行為だ」と 非難する決議案を採択した。あくまで、「日本は性奴隷を弄んだ事実を認めて謝罪しろ」という姿勢を崩していないのある。

しかし、ならば、これまで指摘されてきたように、韓国軍と国連軍が運営した「慰安所」の存在や、朴正煕大統領の時代(1970年代)に、アメリカが韓国政府に対して「基地村浄化事業」を要求し、それに従って韓国政府が米兵相手の多数の「洋公主」(ヤンコンジュ)と呼ばれた売春婦たちに性病検査をおこなうなど、「管理」していたことを、朴槿恵大統領にはきちんと総括して欲しいと思う。

私は、2009年に文藝春秋から刊行された『大韓民国の物語』という本を読んで驚いたことがある。それは、ソウル大学の李榮薫教授が、朝鮮戦争時の韓国軍が、娼窟の女性をドラム缶に入れて戦地に運んだ実例を赤裸々に暴露していたことだ。

〈各部隊は部隊長の裁量で、周辺の私娼窟から女性たちを調達し、兵士たちに「補給」した。部隊によっては慰安婦を「第五種補給品」と言っていた。その「補給品」をトラックに積んで前線を移動してまわった元特務上等兵によれば、慰安婦を前線まで、ドラム缶に女性を一人ずつ押し込んでトラックに積んで最前線まで行った。夜になると「開店」するが、これをアメリカ兵が大いに利用した(以下略)〉

私はこの本を読み、明日の命が知れない兵士たちの戦場での哀しき性の現実について、しばし黙考せざるを得なかった。歴史家の秦郁彦氏の著書『慰安婦と戦場の性』(新潮社)では、イギリス軍やオーストラリア軍の性病罹患率の数字まで明らかにされている。それが、戦争の厳然たる現実なのである。

私は、今回の韓国での集団訴訟で、こうした戦場での容赦のない現実と、薄幸な女性たちの存在がきちんと明らかになって欲しいと思う。そして、「性奴隷」を弄んだ民族として、韓国や中国によっていわれなき糾弾をされている日本の濡れ衣が晴らされることを望みたい。

この集団訴訟をきっかけに、ベトナム戦争時に韓国軍兵士によるベトナム女性に対する強姦事件が頻発し、ライタイハンと呼ばれる混血児が多数生まれた問題をはじめ、被害を受けた多くのベトナム女性の救済問題もきちんと考えていくべきであろうと思う。

私は『レコード・チャイナ』が今日の記事で以下のような韓国のネットユーザーたちのコメントを紹介していたことに目が留まった。

「本当にむごい。日本をあれほど悪く言っておきながら、(韓国政府が)その日本と同じことをしていた事実を隠してきたなんて……」、あるいは、「日本軍の慰安婦だけ騒いでおきながら、米軍慰安婦、韓国軍慰安婦に目を背けていたら説得力がない」。さらには、「韓国人慰安婦の人権侵害で米国を糾弾しなければならない。米国は韓国に謝罪も賠償もしていない。韓国人慰安婦の人権を守ろう!」

この問題は『レコード・チャイナ』だけでなく、日本の大手メディアもきちんとフォローし、報道していくべきだろう。不思議なことに、日本には「自国を貶めたくて仕方がない人」が沢山いる。特にマスコミには、その手の人種が多い。

だが、自国の若者の誇りと自信を失わせる報道に終始する姿勢のおかしさに、彼らもそろそろ気づいていいのではないか、と思う。そんな報道姿勢が、日本や、あるいは隣国の将来に「何も生まない」ことは、すでに完全に証明されているのだから。

カテゴリ: 歴史

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