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やがて日本は「二大現実政党」の時代を迎える

2017.06.19

第193回通常国会は、さまざまな意味で「歴史に残るもの」となった。森友学園や加計学園問題に多くの時間が費やされた低レベルの国会に、ほとほと嫌気がさしたのは、私だけではないだろう。

この情けない有り様を見ながら、私は、「やがて日本は、二大現実政党の時代が来る」と思った。それは、決して「本質」に踏み込まない不毛な「印象操作」と「パフォーマンス」、そして、「最初に結論ありき」の子供じみた政治家たちのスタンスに起因する。

森友問題から加計問題に至る「5か月間」は、それほど情けないものだった。森友学園や加計学園に対する「便宜供与」が本当に安倍首相にあったなら、それを出せばいい。しかし、印象操作を目的に、ひたすらパフォーマンスがくり返される「劇場型国会」に、いい加減にしろ、と叫びたかった良識ある国民は多いだろう。

テロ等準備罪を新設する組織犯罪処罰法改正案の審議も、最初から最後まで「ケチをどうつけるか」という枝葉末節の議論に終始し、最後は参議院法務委員会での「日本維新の会」の質問中に民進党が法相の問責決議案を提出して、“審議拒否”策に出た。

「しめた」とばかりに、自民党が委員会の採決をすっ飛ばして「中間報告」による本会議採決に持っていく奇策に出た。しかし、産経新聞以外のメディアは、維新の質問中に民進党によって法相の問責決議案が提出され、民進党が審議拒否戦略に出たことを報じていない。自民党の一方的な「中間報告」による本会議採決だったとしか国民に情報を「出さなかった」のである。

「パレルモ条約(国際組織犯罪防止条約)」批准のために不可欠な国内担保法である組織犯罪処罰法改正案は、テロやさまざまな組織犯罪と向き合わなければならない日本にとって、不可欠な法律である。

これを締結していない国は、ソマリアや南スーダン、コンゴ、イラン、パラオ、フィジー、ソロモン諸島ら、日本を入れて11か国に過ぎない。かつて、旧民主党は現在の政府案の基になる修正案を国会に提出した。対象を「組織的犯罪集団」に絞り込み、さらには、犯罪実行のための「予備行為」を処罰要件とする、今回の政府案に酷似したものだった。

旧民主党も、当時は、国際的な組織犯罪への危機感を「共有」していたのである。米、英、独、仏、伊……先進国はもちろん、テロや国際犯罪から国民を守りたい国々は、「共謀罪」か、「参加罪」か、いずれかの国内法をつくり、パレルモ条約を批准している。では、先進国のなかで、今回、野党が主張したように、それによって「内心の自由」や「思想の自由」、あるいは「表現・言論の自由」が犯された国があったのだろうか。答えは、ノーである。

この法律によってパレルモ条約に加盟する最大の利点は、各国との“捜査情報の共有”にほかならない。各国がテロや国際犯罪との戦いで掴んだ情報を共有できることは、日本国民の「生命」と「財産」を守るためには、不可欠なものだ。

爆弾ひとつとっても、雷管に何を使い、起爆装置に何を使うか、あるいは、自爆テロをどういう経過を辿って実現していくか、それらの集団の捜査の端緒をどこから見出すか……等々、テロや組織犯罪から国民を守るために不可欠なものが、各国の捜査機関には蓄積されており、それを日本は「共有」できるのである。

しかし、日本は、ソマリアや南スーダン、コンゴなどと同じく、それらのネットワークから“除外”されている。戦前の治安維持法の時代に「戻るかもしれない」と、反対する人々がいるからである。私は、NHKの日曜討論に出演して反対派の人々と話し合ったが、彼らが話す抽象論に「はあ?」という思いを強くした。

どうしても、私は10年前、防犯カメラの設置に対して強力に反対した政治勢力やジャーナリズムのことを考える。彼らは、あの時と同様、今回も「監視社会の到来」を訴えて、法案に猛反対したのである。

街のあちこちに設置された防犯カメラによって、彼らが主張してやまなかった「監視社会」は、10年後の今、到来しただろうか。平穏に暮らす国民の「命」を守ることよりも、そんな不安ばかりを煽って、政治家としての責任を果たさなかった人々は、あの時、主張したことを今、どう総括するのだろうか。

戦後72年におよぶ民主主義国家としての歩みを無視して、あの思想警察「特高」が存在していた時代の「治安維持法」と同列に並べて国民の不安を煽る手法は、私には理解できなかった。観念論や抽象論で、国民に不安ばかりを植えつけようとする手法は、このインターネット時代に、もはや通用しない。

私は、現在を「左」と「右」との戦いではなく、「ドリーマー(夢見る人)」と「リアリスト(現実主義者)」の戦い(つまり「DR戦争」)だと分析している。安全保障分野で言うなら、「空想的平和主義者」vs「現実的平和主義者」の戦いである。

「不安商法」の時代は、とっくに過ぎ去っている。今でも、この古典的な手法にしがみつく政治家に、国民の支持は絶対に集まらないと私は思う。

もし、集まるとするならば、「現実政党」に対して、である。私は、これを「保守政党」とは呼ばない。「保守」とは、旧来のものを守ることを意味するからだ。そうではなく、あくまで「現実政党」である。

東京都議選を前に公認候補の離党ラッシュが続いた民進党で、今年4月、長島昭久・衆議院議員が離党届を提出し、記者会見で語った中身は、象徴的だった。

「“党内ガバナンス”という魔法の言葉によって、一致結束して“アベ政治を許さない!”と叫ぶことを求められ、過去に自分たちが推進し、容認してきた消費税も、TPPも、ACSA(日米物品役務相互提供協定)も、秘密保護法制も、安保法制も、憲法改正論議も、共謀罪も、すべて反対、徹底抗戦、廃案路線で突き進む。

行き詰まると、院外のデモ隊の中に飛び込んで、アジる、煽る、叫ぶ。そこには熟議も、建設的な提案もない。与野党の妥協も政策調整の余地もない。国民世論の統合を期待されている国会において、かえって国民の中にある分断の萌芽(ほうが)をさらに拡大しているようにしか見えないのです」

私は、「リアリズム」が、今後の政界のキーワードになることは間違いないと思う。あらゆる政策に是々非々で議論を戦わせ、国民にとって「なにがベストなのか」という点で、ある時は妥協し、ある時はとことん戦い抜く――早く、そんな「二大現実政党時代」の到来を実現し、「現実政党」同士の中で、意味ある政権交代を国民が選択できるようになって欲しいと、心から願う。

カテゴリ: 政治

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