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新たなステージに進んだ「永田町」の暑い夏

2017.08.06

2017年夏、日本の政界は、安倍政権の内閣改造で新たな「ステージ」に入った。森友や加計問題で、“ファクト”がないままの異常なマスコミによる安倍叩きがやっとひと段落し、新しい“戦い”の輪郭が見えてきたのだ。

私は、内閣改造の当日、産経新聞から感想を問われ、実務能力や国会答弁の安定性を重視した点で「リアリズム内閣である」とコメントさせてもらった。そういう顔ぶれであることは間違いないが、それと共に、来年9月の「自民党総裁選」をにらんだ絶妙の配置であることに、あらためて注目している。

ひと言でいえば、「石破“封じ込め”内閣」である。今回の組閣で驚いたのは、石破派の入閣待望組ではなく、まだ当選わずか3回で、同派の将来の有望株「斎藤健氏」を農水相として閣内に取り込んだことだ。完全に石破派への揺さぶりである。

それだけではない。無派閥の野田聖子氏を総務相という重要ポストに取り込んだことも、「石破対策」と言える。来年9月の総裁選に、安倍首相としては、「野田氏に出馬して欲しい」というのが本音だ。

最大の理由は、総裁選での「石破氏との一騎打ち」を避けたいからだ。安倍首相は、2012年の総裁選で、第一回投票で石破氏に敗れている。石破氏は、地方票と国会議員票の第一回投票で199票を獲得しながら過半数には至らず、国会議員票のみの投票となった第二回投票で安倍氏に逆転された。

安倍首相にとって重要なのは、「複数の総裁候補が出馬すること」である。一騎打ちの場合、地方票では、またしても大きく石破氏が上まわる可能性がある。そうなれば、「敗北」である。

そのためには、安倍首相は、野田聖子氏にも、河野太郎氏にも、来年の総裁選に出馬してもらいたい。閣外で舌鋒鋭く政権を非難されるのは困るが、閣内に取り込んで、よしみを通じた上で、総裁選に「出馬してもらう」ことは、安倍首相にとって不可欠な戦略と言える。

それを見越して、野田、河野両氏を「閣内に取り込んだ」と見るのが自然だろう。両氏が、来年の総裁選への自身の出馬に早くも言及しているのは、そういう背景がある。

しかも、今回の野田氏の起用は、“元祖”女性宰相候補である野田氏本人にとっても、実に大きい意味を持つ。1998年にすでに郵政大臣を経験し、明晰な頭脳と情に厚いことで当時の郵政官僚たちを虜(とりこ)にした野田氏が、今後は、安倍首相の後ろ盾を「得る」ことになるのである。

その後、現われては消えていった女性宰相候補の中で、彼女が「復活」の糸口をつかんだことは、実に大きい。たとえ安倍批判をおこなっても、もともと安倍―野田ラインは、93年同期当選組として強固なものがあっただけに、今回の起用ほど意味深なものはなかなかあるものではない。

安倍、石破、野田、河野という4者が総裁選に出れば、確実に票は割れる。もし、野田、河野両氏を重要閣僚で遇しておかなければ、出馬しても“泡沫”で終わる。いや、推薦議員「20人」のノルマを達成できずに、またしても総裁選に「出馬できない」可能性もある。

両氏の抜擢は、石破氏の第一回投票での過半数獲得を「阻止するもの」なのである。石破派への揺さぶりのための「斎藤健氏の閣内取り込み」と共に、野田・河野両氏の重要閣僚への抜擢は、この改造内閣の性格を明確に特徴づけていると言っていいだろう。

この6月に、私は当ブログで「やがて日本は“二大現実政党”の時代を迎える」というタイトルで、民進党の「崩壊」と、自民党に代わる新たな現実政党の「出現」について、書かせてもらった。

これまでくり返し書いてきたように、私は、現在を「左」と「右」との戦いではなく、「ドリーマー(夢見る人)」と「リアリスト(現実主義者)」の戦い(つまり「DR戦争」)だと分析している。安全保障分野で言うなら、「空想的平和主義者」vs「現実的平和主義者」の戦いである。

旧態依然とした現実無視のマスコミ報道は、今国会のテロ等準備罪法案、森友、加計問題……等々でも、いかんなく発揮された。迫りくる北朝鮮や中国の危機に対して、国民の生命、財産、そして領土を具体的にどう守ろうかという議論が必要な時に、ただ“揚げ足取り”や、煙もないところに“火をつけて歩く”ことが大手を振っておこなわれた。

こんなレベルのマスコミと野党は、決して国民には受け入れられない。今後、国民の支持を集める政党が出てくるなら、それは「現実政党」であることが必須条件となる。

抽象論や観念論をふりかざして、国会近くにいるデモ隊の中に飛び込み、叫んだり、煽ったり、アジったりする。そんな“空想空間”に生きる政党や政治家は国民に愛想をつかされて、やがて「消え去る」だろう。

その意味で、私は、国内外の厳しい現実に対処できる「リアリズム」政党こそが、これから「日本の政治」を担っていくと思う。

最近、小池百合子都知事が率いる「都民ファースト」への“合流&加入”を目指す政治家の動きが顕著だ。しかし、私は、「決められない都知事」小池氏は、これまで書いてきたリアリズムの“対極”にいる政治家であろうと思う。

「築地は守る、豊洲は活かす」という論理的に“破綻”したキャッチフレーズで都民に巨額の税負担をもたらす小池都知事は、ある意味、舛添前都知事より「タチが悪い」かもしれない。

「6000億円」という気の遠くなるような総事業費をブチ込んだ豊洲新市場は、企業債(借金)の利息ですら「370億円」にのぼる。「築地売却」による“借金の圧縮”こそ都民のために急務であることは明らかなのに、どっちにもいい顔をするために「築地は守る、豊洲は活かす」とは言いも言ったりである。まさに「決められない都知事」の面目躍如と言える。

残念ながら、こんなリーダーに率いられた政党は、自民党政権の受け皿とはなり得ないと私は思う。耳ざわりのいい言葉を発することと、「現実政党」とは、多くの場合、イコールではないからだ。

しかし、国民は「二大現実政党」時代を志向し、実際に政局がそういう方向に向かっているのも事実である。

用意周到な計算の末に改造され、“リアリズム内閣”となった安倍政権が、対「石破茂」戦争という明確な方針を示し、かつ、憲法改正問題や、都民ファーストとの戦いを念頭に動き出すことで、永田町はこの夏、「新たなステージ」に進んだのである。

カテゴリ: 政治

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