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「かくて護憲勢力は壊滅した」という歴史に残る“悲劇と喜劇”

2017.09.29

かねて「2大“現実政党”時代」の到来について書いてきた私も、あまりにも「あれよ、あれよ」という展開に正直、唖然としている。

最も驚いたのは、あれほど「解散の大義がない」と叫び、「護憲」を主張し、平和安全法制を「戦争法」と決めつけて、その廃止を訴えてきた政治家たちが、一夜にして“一丁目一番地”とも言うべきその政策を「放棄」してしまったことだ。

リベラル勢力の人々は、自分たちが支えてきた政治家たちの浅ましい姿に、ただただ絶句している。刻々と変わる国際情勢や社会の変化に目を向けず、そして、やれ「お花畑だ」、やれ「ドリーマーだ」と揶揄(やゆ)されても、それでも国会前で「護憲」と「平和安全法制廃止」を訴えてきた人々は、本当に立つ瀬がないだろう。

信じていた政治家たちが、自分たち支持者を置き去りにして、こともあろうに「改憲政党」のもとに走っていってしまったのである。果たしてこれ以上の衝撃があるだろうか。

リベラル勢力の人たちが投票する政党が「共産党しかなくなってしまった」ことは、本当にお気の毒に思う。しかし、慌てることはない。恥も外聞もなく希望の党に駆けこもうとした民進党の政治家たちは、小池百合子党首によって「選別」され、少なからず「また舞い戻ってくる」からだ。その少数派の政治家たちをまた「支持すればいい」のである。

なんといっても興味深かったのは、本日(29日)、小池党首が記者会見で、希望の党からの出馬を望む民進党の立候補予定者の絞り込みについて「リベラル派を“大量虐殺”するのか」と問われ、「(リベラル派は)排除する」と、あらためて言明したことである。

小池氏は、「安全保障、憲法観といった根幹部分で一致していることが、政党構成員としての必要最低限です」と、強調した。選挙に落ちて「ただの人」になりたくないために、政治信条を捨ててまで必死で入党を懇願しているのに、リベラル政治家たちには、それでも、まだ「大きなハードルが待っている」のである。

各選挙区で着々と準備が進められてきた共産党を含む「野党統一候補」の構想は、わずか1日で白紙となったが、小池党首の「選別」によって、またそこに活路を見出そうとする政治家たちが少なからずいるだろう。護憲リベラル勢力は「選挙の前に」すでにほとんどが壊滅してしまったが、その悲喜劇は、むしろこれからが「本番」と言えるのである。

結局、小池党首が言う「リセット」とは、平和ボケしたリベラル勢力を「リセット」することだったことに気づいた向きも多いだろう。だが、まだ、あきらめてはいけない。

見方を変えれば、“抱きつき合流”によって、希望の党の中心勢力になるのが旧民進党の連中なのだから、彼らが加計問題で必死に持ち上げてきた前川喜平・元文科事務次官のように「面従腹背」を座右の銘とし、ひたすら「時」を待って、将来、希望の党の中で小池勢力を「駆逐」すればいいのである。

つまり、「駆逐するか、されるか」という勝敗はともかく、希望の党の将来は、「分裂が不可避」ということである。中国に「尖閣に手を出させない」ためにできたとも言うべき平和安全法制を「戦争法案」と叫びつづけたツケを当人たちが払わされることになったのは、なんとも「歴史の皮肉」というほかない。

カテゴリ: 政治

北朝鮮ではなく「日本人が敵」だった

2017.09.04

いよいよ北朝鮮情勢に対するアメリカの「決断の時」が近づきつつある。多くの専門家が「6回目の核実験こそ、戦端が開かれるトリガー(引き金)になる」と、くり返し述べてきたが、その「6回目の核実験」の壁は、あっさりと取り払われた。

9月3日、北朝鮮は6回目の核実験を強行し、朝鮮中央テレビは、「前例がないほどの大きな威力で実施された」と、「水爆実験」の成功を宣言した。

北朝鮮が初めて核実験をおこなったのは、2006年10月である。11年後の今、北朝鮮は、核技術を供与してきたパキスタンをも驚かせる、この分野での目覚ましい発展を遂げたことになる。核と弾道ミサイルの開発を同時に押し進める北朝鮮は、確実にアメリカの「脅威」となったのだ。

前回のブログで、「私たちは、このまま北朝鮮が“核弾頭の小型化”と“起爆装置の開発”が成功することを待つのか」という問題提起をさせてもらった。6回目の核実験で「いよいよか……」という独特の感慨がある。

今から24年前の1993年6月、週刊新潮のデスクをしていた私は、〈東京を睨む北朝鮮核ミサイルに怯える「第九条」〉という記事を書いた(6月24日号)。旧ソ連製の戦術弾道ミサイル・スカッドを北朝鮮が独自に改良・生産した「ノドン1号」が日本海で試射され、500キロ離れた目標物に命中したことが明らかになったことを受けての記事だった。

戦後50年が近づき、“平和ボケ”した日本に突きつけられたこの問題を〈東京を睨む北朝鮮核ミサイルに怯える「第九条」〉と表現した記事は当時、かなりの話題を呼んだ。しかし、今、この記事を読み返すと、これを明日出しても、そのまま通用するのではないか、という錯覚をしてしまう。

それは、“平和ボケ”は今も「まったく変わらない」という点だ。今朝、各紙に目を通していたら、朝日新聞の「天声人語」に目を吸い寄せられた。そこには、こう書かれていた。

〈迷惑千万な隣国への「怒り」は、尽きることがない。それでも「冷静さ」は併せ持ちたい。始めなくていい戦争を始めてしまった経験が、人類にはいくつもある〉

「冷静さ」は、もちろんアメリカを含めて国際社会の側は持っている。持っていないのは、これまで叔父の張成沢氏ばかりか、実兄の金正男氏、さらには、多くの軍の幹部たち、果ては罪のない人民を無惨な方法で処刑・粛清してきた金正恩当人である。

33歳の若きこの領袖が「もはや正気ではない」と各国が分析しているのは周知のことだ。その人物が核ミサイルの発射ボタンを持つことの「意味」を言うまでもなく、トランプ大統領だけでなく、国際社会が認識している。だからこそ、北朝鮮核ミサイル問題は極めて深刻なのである。

しかし、この24年間、父・金正日時代から国際社会の「対話」による解決への模索は、ただ核開発のための「時間稼ぎ」に利用されただけだった。その結果、北朝鮮は、ついに、アメリカの「殲滅」を公言するに至ったのである。

天声人語子は、「対話」の陰で、ついに「起爆装置の開発」が成されたら、それでも同じことを言うのだろうか。2013年4月に労働新聞紙上で宣言した「東京」「横浜」「名古屋」「京都」「大阪」の5都市に向けた核ミサイルの発射ボタンを、いつでも押すことができる状況下で、どんな主張をするのだろうか。

日曜日(9月3日)の朝、民放のテレビを観ていたら、番組の中でジャーナリストが「朝鮮半島の分断には、日本に歴史的な責任がある。朝鮮半島が平和になるために日本が努力しなければならないことを忘れちゃいけない」などと言っていた。北朝鮮の核ミサイル問題も「日本に責任あり」という、お得意の「悪いのはすべて日本」という論である。

また、最近話題になっている東京新聞の女性記者が記者会見で、菅義偉官房長官に「米韓の軍事演習を続けていることが、金委員長のICBM発射を促している。日本は、軍事演習について、(米韓に)金委員長側の要求に応えるよう働きかけをしているんでしょうか?」などと、完全に「北朝鮮の立場」からの質問を浴びせていた。

さすがに、菅官房長官も「北朝鮮の委員長に聞かれたらどうですか?」といなしていたが、「なんでも悪いのは日本」という人たちの発想と論理には恐れ入る。

これまで何度も書いてきたように、日本人は、ほぼ全員が平和を望んでいる。日本は、平和主義者の塊(かたまり)と言える。しかし、その平和主義者は、二つに分かれている。「空想的平和主義者」と「現実的平和主義者」だ。

平和を唱えていれば平和が保たれると思う“ドリーマー(夢見る人)”と、あらゆる現実的手段を執って戦争を防ごうとする“リアリスト(現実を見る人)”である。ドリーマーの特徴は、なんでも「悪いのは日本」で、日本が戦争を起こすのを「どう防ぐか」とばかり考えていることだ。

残念ながら、マスコミには、このドリーマーが非常に多い。彼らは自分たちを“リベラル”と称して、「私たちはペンで戦争をしたい人たちと闘っている」と思い込み、自己陶酔に浸っている。

彼ら彼女らにとっては、「北朝鮮は守らなければならない国」なのである。自然と発想が「北朝鮮寄り」になり、北の利益になるようなことばかり「代弁」するようになる。彼らがいかに北朝鮮の力強い味方だったかがわかる。

彼らは、日本人が「拉致」されるという最大の「主権」と「人権」の侵害に直面しても、決して北朝鮮を糾弾せず、常に「対話」を主張し、「核開発」のための時間稼ぎに大いに力を貸してきた。大多数の日本人にとっては、彼らこそ「敵だった」のである。

それは、この問題が勃発した24年前も、そして「今」も変わらない。かつて北朝鮮を“地上の楽園”と囃(はや)した新聞が、今も脈々とドリーマーを育てつづけていることに、ほとほと感心する。

しかし、事態がここに至り、アメリカのとり得る手段は「2つ」に絞られてきたといっていいだろう。ひとつは、北朝鮮を核保有国とみなして、米朝高官交渉を始めること。もうひとつは、核兵器の除去、つまり、軍事行動で北朝鮮を瓦解せしめることである。

その時は、金正日時代に彼を“斬首”するために立案・計画されていた「作戦計画5026」と「作戦計画5030」が再び甦(よみがえ)ることになるだろう。

在韓アメリカ人の秘かな移動、つまり国外脱出は、どのようなかたちで進行しているのか。それが、明らかになった段階で、世界はアメリカの「決意」を知るに違いない。

「まるでキューバ危機」という声がアメリカ国内にも出始めた。トランプ大統領は、記者から「北朝鮮を攻撃するのか」と問われ、「そのうち分かる(We will see)」と発言した。いよいよ「決断の時」が近づいている。

カテゴリ: マスコミ, 北朝鮮

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