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このまま“モンゴル互助会”問題はウヤムヤになるのか

2017.11.29

日馬富士(33)=伊勢ケ浜部屋=が本日(11月29日)午前、日本相撲協会に引退届を提出し、受理された。巡業中の10月25日に鳥取市内で同じモンゴル出身の幕内貴ノ岩(27)=貴乃花部屋=に暴行したことが明らかになった11月14日から2週間余の決着劇である。

ついに「この日が来た」という思いと、問題の本質である「モンゴル互助会」問題は、結局、ウヤムヤのまま終わるのか、という二つの思いが私の中では交錯している。

27日にあった横綱審議委員会では、協会に対して、日馬富士に厳しい処分をすることを求めており、会見に応じた横綱審議委員会の委員長である北村正任・毎日新聞社名誉顧問が示した厳しい姿勢で、日馬富士もある程度、覚悟はしていただろう。

しかし、決定打になったのは、ついに明らかになった貴ノ岩のケガの状況である。モンゴル力士の草分けである元小結・旭鷲山が昨日公開した貴ノ岩のケガの写真は衝撃的だった。「ああ、これはひどい」「日馬富士もこれではこらえきれまい」―医療用ホッチキスで止められた10針の痛々しい頭部裂傷は多くの人にそう思わせた。

そして、本日、日馬富士はさっそく引退届を提出した。もはや「致しかたなし」というほかない。しかし、同時に「これで事件の本質が隠されてしまうのか」ということが気にかかる。

それこそ「モンゴル互助会問題」にほかならない。事件の詳細が次第に明らかになってきた時、多くの人はこんな疑問を持たなかっただろうか。モンゴル力士の間では、これだけ有無を言わせぬ「上下関係」があって、「果たして本場所でガチンコ相撲をとることは可能なのだろうか」という根本的な疑問である。

なぜ、あそこまで貴乃花親方は頑なだったのか。貴乃花親方は、なぜ、これまで貴ノ岩をモンゴル力士の飲み会に参加させなかったのか、ということだ。

記録を調べてみたら一目瞭然だが、モンゴル力士になって考えてみたら、すぐにわかることがある。たとえば白鵬が優勝街道をひた走っている時、もし、自分が白鵬を破って優勝争いをしている日本人力士を「アシスト」するようなことがあれば、どうなるだろうか。

そんなことが果たして許されるだろうか。飲み会で、携帯電話をいじっていたら、数十発殴られ、頭をなにかで叩かれ、9針も縫うようなケガをさせられるのである。

いや、そもそもガチンコ相撲の貴乃花部屋に所属する貴ノ岩のことを日馬富士や先輩力士たちは、気に入らなかったのではないか。その体質こそが、貴乃花親方の怒りであり、今回の暴行事件で膿を出そうともせず、臭いものに蓋をしようとする相撲協会への貴乃花親方の“ガチンコ相撲”だったのではないか、ということだ。

この問題がここまで大きくなった本質こそ、そこにあるような気がしてならない。八百長相撲が発覚し、場所自体が中止になった2011年春場所から、すでに6年半。また、時津風部屋で親方も一緒になったリンチで新弟子の少年が死亡する事件が発生してから10年余が経つ。

果たして、八百長やリンチは根絶したのだろうか。相撲ファンの一人として、長年、大相撲を見つづけた私は、とても、首を縦にふることはできない。貴乃花部屋には、「10の訓示」がある。その冒頭の二つが以下である。

一、力士道に忠実に向き合い日々の精進努力を絶やさぬ事
二、人の道に外れないよう自身を鍛え勝負に備える事

これは、オールドファンで、二子山勢を知る好角家なら、すぐにわかるものだ。理事長も務めたかつての二子山親方(元横綱若乃花。昭和30年代に“栃若時代”を築いた名横綱)から伝わるガチンコ相撲、すなわち“真剣勝負の系譜”ならではの、いわば二子山勢の「家訓」でもある。

大相撲が、本来の真剣勝負の系譜に戻ることができるのか。日馬富士引退でも幕を引いてはいけない「本質」がそこにある。

カテゴリ: 相撲

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