門田隆将オフィシャルサイト | kadotaryusho.com

  • 最新情報
  • プロフィール
  • 著作リスト
  • 講演のご依頼
  • ブログ
(C) KADOTA RYUSHO. ALL RIGHTS RESERVED.
BLOG | KADOTARYUSHO.COM

ブログ

「軍事行動か、核廃棄か」いよいよ岐路が迫ってきた

2018.04.29

朝鮮半島情勢が、いよいよ正念場を迎えている。1993年以来の北朝鮮に対する国際社会の相次ぐ失策が挽回され、解決するか否か。ついに、そのことが問われる時がやってきたのである。

27日の文在寅大統領との板門店会談で、北朝鮮の金正恩・朝鮮労働党委員長が核実験場を「5月中に閉鎖」する方針を表明し、米韓の専門家やメディアに公開するため「招待する計画」まで明らかにしていたことがわかった。

さらに、会談の席上、「日本と対話する用意がある」と言明していたことも明らかにされた。29日午前の文在寅―安倍電話会談で伝えられたこれらの“事実”に、思わず私は「ほう」という声をあげてしまった。

5月中か、もしくは6月上旬までにおこなわれるだろう米朝首脳会談、そして、そのあとに予想される日朝首脳会談。いよいよ4半世紀に及ぶ北朝鮮核問題の決着がつくかどうか。私たち日本人の「生命」にかかわる大問題であり、最大の関心を払わざるを得ない。

私は、一連の動きで3つの感慨を抱いている。1つめは、金正恩の評価に対する国際社会の激変について、である。板門店会談の最大のサプライズは、なんといっても金正恩氏が「パラノイア」ではなく、「したたかな戦略家」であることが映像と生の声を通じて世界に認識されたことだろう。

幹部の相次ぐ粛清、叔父・張成沢の処刑、兄・金正男の暗殺、人民への残虐な仕打ち、核とミサイル実験の折々で発してきた常軌を逸した言葉の数々……私たちが知っている多くの現実は、「金正恩はパラノイア(※Paranoia妄想性パーソナリティ障害の一種)」という疑念を深め、実際にアメリカのヘイリー国連大使は昨年、ABCテレビのインタビューで、「彼はパラノイアの状態だ」と明言したこともあるほどだった。

しかし、文在寅大統領とともに、にこやかに笑う金正恩は、パラノイアどころか、実に巧みな「戦術家」「戦略家」であることを世界に示した。たとえ彼の本音が、昨年のクリスマス休暇以来、いつ断行されてもおかしくなかった米軍による“斬首作戦”への怯(おび)えであったとしても、また、石油の禁輸を含む苛烈な国際社会の経済制裁へのギブアップであったとしても、それをおクビにも出さず、堂々と振る舞ったのである。まさに「パラノイア」から、したたかな「戦略家」へと、自身の国際評価を「一変させた」のだ。

2つめの感慨は、北朝鮮による長年の工作活動の成果について、である。中国も北朝鮮も、多数の工作員(スパイ)を動かし、対象国の政界、経済界、マスコミ……等々を操作・誘導する“工作国家”である。その成果が今回の板門店会談で明らかになったのだ。

すなわち、親北政権である文在寅政権を生み、さらには、“北主導”の朝鮮半島統一への第一歩を「踏み出させた」ことである。

私は、現在の韓国を「文・任政権」と呼んでいる。これは、文在寅大統領と、秘書室長を務める任鐘哲(イムジョンソク)の“二人体制”という意味だ。

これまでインテリジェンスの専門家がくり返し指摘してきたように、任鐘哲秘書室長は、北朝鮮のために韓国国内で地下工作活動を長くおこなってきた経歴を持つ人物だ。そして、今に至るも転向宣言をしたこともなければ、過去を反省するコメントを発したこともない。つまり、任氏は、いまも「北のために」動く人物なのである。

今回、板門店でくり広げられた“スムーズな”南北融和の政治ショーを見て、私は任氏の手腕を再認識させられた。二人の首脳が板門店の南北境界線で握手を交わし、平和の家に移動し、ここであらかじめ詰めていた内容の発表をおこなう。

しかも、その発表では具体的な核廃棄の方法や期限は一切示さず、ただ「平和」「対話」「統一」だけを強調するのである。

そして、具体的なものは、時間をかけて“小出し”にし、国際社会を次第に自分の土俵に引き込み、「抱き込んでいく」のだ。すでに4月20日、平壌でおこなわれた朝鮮労働党中央委員会第7期第3回総会で、金正恩はこれまでの経済建設と核戦力建設の「並進路線」を終了させ、社会主義の経済建設に「総力を集中」させることを打ち出している。

つまり、経済発展に向けて金正恩体制は「突き進む」ということである。おそらく中国のように、共産主義下での特殊な「経済発展」を目指し、国力をアップさせることを目論んでいるのだろう。そして、その戦略の中では、日本の巨額の経済支援をアテにしていることは間違いない。

限界まで危機を煽って恐怖心を噴出させ、そのあと、一転してカネを出させるべく態度を軟化、変貌させる。そのしたたかさは、祖父・金日成、父・金正日以上かもしれない。

3つめの感慨は、ここまで北朝鮮を追い詰めることができた国際社会の一致した経済制裁の威力について、である。ついには石油が枯渇し、洋上で「瀬取り」(※船から船へ積み荷を移すこと)までしなければならないほど、北は土俵際に追い込まれた。

ブッシュ大統領が2002年1月、一般教書演説で、北朝鮮、イラン、イラクの3か国を名指しで批判した際、アメリカ人の多くは北朝鮮が「どこにあるのか」さえ知らなかった。

しかし、今は違う。ふつうのアメリカ人が朝鮮半島問題の大きさを知り、金正恩の存在を知っている。そして「この問題は放置してはならない」という認識を大多数のアメリカ人が持っている。

その「変化」の中心で大きな役割を果たしたのは、日本である。北朝鮮の非道を国際社会に訴え、トランプ大統領の尻を叩き、経済制裁を継続させている「安倍外交」がついに事態打開の可能性を生み出したのである。

フジテレビの報道によれば、先週おこなわれた日米首脳会談で、アメリカ側の出席者が「米朝首脳会談が決裂すれば、軍事攻撃に踏み切るしかない」という見解を日本側に伝えていたという。これは極めて大きな意味を持っている。

圧力は最後までかけ続けるという方針は今後も変わらないということである。トランプ―安倍コンビは、来たるべき「米朝首脳会談」が決裂すれば、「即、軍事オプションに入るぞ」という激烈な圧力の方針を確認し合ったということである。

すでに就任前に「3回」も極秘訪朝したというマイク・ポンぺオ国務長官。ジョン・ボルトン大統領補佐官と共に、北朝鮮最強硬派のポンぺオ氏は、「情報機関(すなわちCIA)による核査察」をおこない、「短期間」に廃棄を実現させ、さらには完全なる核廃棄が確認されない限り「見返りはない」という“リビア方式”での核廃棄プランを持って金正恩と交渉していると囁かれている。

すなわち、これが受け入れられなければ、米軍による「軍事オプション発動」の可能性は、実際に高まるのである。脅しというのは、本気であればあるほど、相手の「譲歩が引き出せる」のは世の習いだ。

北朝鮮情勢は今、まさにその段階にある。北朝鮮は核施設を温存させる方法をあの手この手で探るだろう。一方、アメリカはそれを許さず、軍事衛星その他のあらゆる手段を通じて、核施設割り出しを展開している。

そして、この圧力戦略によって、ついに拉致問題での急展開もあり得る情勢となってきたのである。夏までに「日朝首脳会談」まで至るとなれば、最重要課題である拉致問題はもちろん、経済協力という名のもとに北への巨額のODA(政府開発援助)も取り沙汰されることになる。そうなれば、日本得意の“ヒモつきODA”で、商社、ゼネコン、鉄鋼各社も必死の動きを見せるだろう。

日本を射程に収めた北のスカッド、ノドンおよそ1300発の問題をそのままにして、議論は進んでいくのだろうか。それとも「核」だけでなく、そこまで踏み込んだ話し合いに持っていくことができるのか。

あまりに多くの課題があり、これからが日本外交の正念場なのだ。審議拒否をつづけるドリーマー(お花畑)の野党に国会質問などしてもらう必要もないので、野党はいつまでも“審議拒否”をしていればいいだろうと思う。

ここへ来ても、まだ「安全保障法制の廃止」を宣(のたま)う野党党首もいる。政府には、彼ら野党を完全無視の上、国民の生命を守る「賢明な選択」を是非、お願いしたい。

カテゴリ: 北朝鮮, 政治

最新のエントリー

カテゴリー

アーカイブ