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石破茂の「厳しい現実」と安倍晋三の「最終戦争」

2018.09.21

安倍晋三総裁の3選が圧勝で決まった。553票対254票というダブルスコア以上の「大差」で、首相の得票「69%」に対し、石破氏は「31%」だった。

それでも昨夜のテレビ報道、そして今朝の新聞紙面は「石破善戦」でほぼ統一された。当初から、いかに石破陣営の“惨敗”が予想されていたかがわかる。

最悪の場合、安倍氏が600票台に乗り、石破氏が200票に届かないとまで言われていただけに、250票超えで、少なくとも「政治生命がつながった」と、石破陣営の安堵ぶりは半端ではない。

インタビューを受ける石破氏の昂揚ぶりは、ダブルスコア以上の大差をつけられた政治家のそれではなく、最後の1週間でいかに追い上げを果たし、「とても無理」と思われていた「250票」を突破したことへの満足感に溢れていた。

なりふり構わぬ応援記事を書いてきた各紙の中でも、朝日新聞は、今朝の1面に〈「1強」のおごりの芽をつめ〉と題して栗原健太郎政治部長が、これまた昂揚感に満ちたオピニオン記事を書いている。

〈問われたのは、「1強」がもたらした政権のゆるみとおごりだった。しかし、歴代最長の通算在任期間をうかがうのにふさわしい信頼を、安倍晋三首相が勝ち得たようには見えない〉

〈多くのハードルが待ち受けるなか、首相が憲法改正を改めて前面に掲げたのは、求心力を保とうとしてのことだろう。だが与党内にもある慎重論を押し切って改憲手続きを強行すれば、国論は二分される〉

〈首相がいま自覚すべきなのは、「1強」が強力になり過ぎ、議員や官僚による忖度やおもねりを生んだことだ。ここでたださなければ弊害は広がるだろう〉

これほどの大差をつけられた石破氏でも、朝日新聞は石破氏の「政治生命がつながった」ことが、よほど嬉しかったのだろう。こちらが恥ずかしくなるほどの興奮ぶりが今朝の紙面からは伝わってきた。

どうしても、自衛隊を「違憲状態」に置いておきたい朝日新聞をはじめとする日本のメディアは、「自衛隊は災害時も、国家の危機が生じた時も、国民のために戦え。しかし、おまえたちは永遠に違憲の存在だ」と言いたいのである。

国際社会の「現実」とも向き合わず、中国や北朝鮮が泣いて喜ぶような「空想的平和主義」を掲げて、朝日新聞は自衛隊を“違憲状態”に置きつづけるのだろうと思う。

私は、前回のブログでも書いたように、憲法改正の中で9条2項を維持した上で自衛隊の存在を明記する“穏健案”の安倍首相に対して、石破氏が2項削除を主張し、国際平和のために集団的自衛権を行使できるようにするという“強硬案”を封印し、9条改正の先延ばしを主張したことが本当に興味深かった。

自衛隊が「国際平和」のために海外で集団的自衛権を行使できるようになるということは、中東で紛争が勃発しようが、南シナ海で戦争が起ころうが、「日本も国際社会の平和と安定のために戦え」というアメリカの要請に応じて「海外での武力行使」に道が開かれることを意味している。

それは、本来、朝日新聞をはじめとするメディアにとっては「許しがたい主張」である。しかし、彼らを味方につけるために、石破氏は今回、長年の主張を引っ込めるという姑息な手段に出た。

私は、政治家としていかがなものかと思う。石破陣営は、来年7月の参議院選を大きなポイントと見ている。参院選での敗北、あるいは、参院選と憲法改正の国民投票が「ダブル」でおこなわれ、憲法改正が「否決」されること――この2点は、そのまま「安倍退陣」に直結するからだ。

その時、今回の総裁選で安倍首相と戦った自分が「次期政権の最有力者となる」と踏んでいるのだ。しかし、石破政権が今後、誕生する可能性は「ほとんどない」ということを、ここで触れておきたい。

今回、自民党議員の82%もの人間が、なぜ「反石破」にまわったのか、その理由をご存じだろうか。それは、石破氏がこれまで歩んできた「歴史」を見れば、極めてわかりやすい。

93年に自民党が下野した時に、さっさと自民党を離党して新進党の結党に参加した石破氏。その後、自民党に戻ってきてからも、汗をかかず、マスコミ相手にパフォーマンスばかりくり返してきた石破氏には、「肝心な時に人を裏切る男」との評価が定着している。

第一次安倍政権でも、麻生政権でも、政権が窮地に陥った時、必ず「退陣しなければ党が崩壊する」と声をあげて政権の足を引っ張ったのは、石破氏だった。

そのやり方は、本来の持論である9条改正案ですら、封印してしまう姑息さにもつながっている。自民党では、「汗をかかず」「肝心な時に人を裏切る人間」が、総理・総裁になることは決してない。なぜなら、自民党内の論理は、これが「すべて」だからだ。

これまでの石破氏のこの政治姿勢には、今や「96人」という最大派閥となっている「清和会(細田派)」、さらには、「60人」という第二派閥の「志公会(麻生派)」が、「絶対、石破だけは許さない」とがっちり連携をとっていることからもわかる。

「反石破」の軸となるこの二つの派閥だけで、計「160人」近い勢力が無条件に形成されるのである。そこに二階派(志帥会44人)や岸田派(宏池会48人)なども、「反石破」では共通しており、同調する派閥・議員は目白押しだ。

わずか20人しかいない派閥の領袖である石破氏は、自民党内で、ここまで「恨みを買う」ような政治姿勢をつづけてきたことを振り返ってみなければなるまい。

今回の総裁選でも、石破陣営の戦い方は、党内に大いなるしこりを残してしまった。「いつの間にか自由にモノが言えない政党になってしまった」「ウソはいけない」「国民に正直に話さなければならない」……等々、あたかも野党がモリ・カケで1年半にわたっておこなってきた“印象操作”と同じことをやってしまった。

最終盤には、斎藤健農水相が「(安倍陣営の議員に)安倍内閣の閣僚なんだから石破を応援するなら辞表を書け、と言われた」という発言までおこなった。私はこれを聞いた時、驚いた。

安倍氏本人がそう言ったのならいざ知らず、一人の議員が言ったとされる言葉を、しかも当事者の実名も明かさず、真偽不明のまま、あたかも「安倍陣営の意思」もしくは、その「総意」であるかのように言ってのけたのである。

将来、斎藤氏が総裁選を争う人間となった時、相手陣営の議員が「斎藤陣営の人間にこんなひどいことを言われた」と会見したら、斎藤氏はどう思うだろうか。「えっ? それで私の陣営そのものが言ったことにされてしまうの?」と、その時、気がつくに違いない。

党員の投票行動に大きなインパクトを与えたこの齋藤発言をはじめ、石破陣営のなりふり構わぬ戦い方は、今回の総裁選を非常に後味の悪い、怨念を引きずるものにしてしまったのである。

一貫して“反安倍キャンペーン”を張ってきたマスコミが「石破善戦」と讃え、次期政権への期待をかけても、前述のように石破氏の政権が誕生する可能性は「ほとんどない」のである。

テレビと新聞に全面支援を受けた石破氏が、終盤、自民党員の間で当初の予想より票を伸ばしたのは事実である。それは、自民党員が、テレビや新聞しか情報源を持たない、いわゆる“情報弱者”によって支えられていることも示している。

安倍首相は、果たして、彼ら“情弱”を説得する術(すべ)を持っているのだろうか。いまだにモリ・カケという実態を伴わない印象操作だけの“疑惑”を、彼ら情弱の人々は抱いている。

9条2項を維持して「侵略戦争」と「集団的自衛権行使」を否定した上で、「自衛隊を違憲状態から解放する」という穏健案を果たして国民に問うことができるのか。安倍首相“最終戦争”のお手並み拝見である。

カテゴリ: 政治

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