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「令和」をやり甲斐と可能性に満ちた時代に

2019.04.30

とうとう平成が終わる。ついにこの日を迎えると、やはり、万感こみ上げるものがある。世の中にとっても、自分自身にとっても、多くのことがあった時代だった。

個人的には、子供が生まれ、成長し、巣立っていった日々であったし、仕事的には、週刊新潮のデスクとして、毎週、世の中のさまざまな出来事の特集記事を書いて問題提起をさせてもらった時期から、作家・ジャーナリストとして独立し、50冊近い本を出版した時代ともなった。

ここのところテレビの番組などで「平成とはどんな時代だったのか」という質問を受けることが多い。私はそんな時、「既成の概念や常識がぶち壊された時代だった」と答えている。

平成の初め、日本はバブル景気に沸き、ジャパンマネーは世界を席捲し、アメリカの象徴であるマンハッタンのビルまで日本企業が買収した。だが、やがてバブルが崩壊し、日本経済は奈落の底に落ちていく。そして、大きな事件、事故、自然災害といった暗い出来事が次々と日本を襲った。

政界では、「55年体制」が崩壊し、金融界は13行の都銀と3つの長信銀がわずか4グループに再編され、ジャーナリズムをリードしていた盤石の新聞もインターネットの発達で崩壊寸前となった。

つまり、既成の「概念」や「常識」が完全にブチ壊された時代が平成だったのだ。その中でも、「何が最も大きかったか」と問われたら、私は「インターネット革命」を挙げさせてもらう。

90年代半ば、「インターネットは、20世紀最大の革命であるモータリゼーションを超えるか」という議論があった。実際に、私は週刊新潮誌上でそういう記事を書いたことがある。いま振り返ると、その表現も大袈裟ではなく、いや、「そのとおりだった」ように思う。

それまでに存在した概念や常識がインターネットによってぶち壊された分野は、あまりに多い。たとえば、私自身が住む「ジャーナリズムの世界」に限定して話を進めてみよう。

株価や地価が高騰した平成の初め、新聞メディアはそのようすを同時進行で伝えるばかりでなく、自ら財テクや不動産投機に走り、栄光に翳(かげ)りが生じることなど、露ほども考えていなかった。「わが世の春」を思いっきり謳歌していたのである。

しかし、インターネットの登場が、その新聞を窮地に追い込んでいく。それまで、記者クラブに潤沢に記者を配置して情報を独占し、自分の主義・主張、すなわちイデオロギーによって情報を恣意的に加工し、大衆に下げ渡していた「従来の手法」が通用しなくなっていったのだ。

国民がSNSという情報発信のツールを手に入れたからである。当事者や専門家が、SNSを通じて新聞などメディアの情報がいかにいい加減かを指摘するようになった。それまで情報を独占していた新聞は、その座からすべり落ちただけでなく、逆に国民からチェックされる存在となったのだ。

その過程で、新聞が情報を歪(ゆが)める手法が次々と暴かれていった。信用は下落し、部数は減り、人材も劣化していった。出版界も同様だ。週刊誌や月刊誌など雑誌メディアも、ネットの後塵を拝し、太刀打ちできなくなっていった。

信用されるのは、「組織」より、むしろ「個人」の時代となったと言っていいだろう。表現を変えれば、「組織の看板」が通用しなくなったとも言える。組織や権威に胡坐(あぐら)をかいていた人間は消え去る運命となっていったのだ。

時代は確実に変革に向かっている。事実そっちのけで自分の言い分を押しつけてくる新聞に真っ先にソッポを向いたのが若者だったように、鍵を握るのは平成に生まれ、育った世代である。

戦後ニッポンが初めて経験した「右肩下がりの日本」で生まれ、育ってきた若者たち――彼らの特徴は、「我慢強く」、「現実的」で、「浮かれない」ことにある。

彼らは、車も買わなければ、ゴルフもやらない。そんな無駄なことは、彼らはそもそもしないのだ。極めて現実的な彼らは、今後、高速・大容量の新移動通信システム「5G」時代をどう迎えるのだろうか。

時代は、変革に対応できない既存のメディアの息の根を止める方向に進んでいる。明日からスタートする「令和」は、生き残るメディアと、そうでないメディアを残酷に分かつだろう。

既成の概念や常識に執着した者から「退場」が約束される時代、それが令和である。恐ろしくもあり、同時に、やり甲斐と可能性に満ちた時代が、いよいよやって来たのである。

カテゴリ: マスコミ

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